色のユニバーサルデザイン
色覚の多様性を知ってビジネスに活かそう。
色は消費行動や感情に影響を与え、企業のイメージを伝えたりメッセージを発信する際に強力なツールとなります。ポスターやWebサイト、チラシや看板、メニューなど、企業活動と色とは常に密接につながっているので、色彩理論を元にした配色や視覚効果、色彩心理などについて多くのガイドブックが出ています。
けれど、人間の色覚には様々な特性があり、ある色が全ての人にとって同じように認識されているとは限らないことは、意外に見過ごされています。
本ブログでは、色覚の多様性と「色のユニバーサルデザイン」について、ビジネスに役立つ情報をまとめました。
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色とは何なのか?
「色」というのは一体何でできているのでしょうか?色は、レントゲン写真や携帯電話の電波、エックス線などと同じ電磁波の一種です。電磁波の中で、人間の目で感じ取れる波長(可視光/約380〜780nm)の波長を網膜で受け取り、視細胞で情報を処理し、脳に伝わることで色を認識しているのです。
つまり色というのは、見ている人の判断が関わる「感覚」なので、色の認識には個人差があります。
色を認識するには、(1)物体、(2)光源、(3)視覚、この三つの要素があって初めて感じ取れるものです。ですから、光源が太陽光か蛍光灯かろうそくの炎か・・などによって感じとる色は大幅に変わりますし、その人の持っている目の特性によっても変わります。
例えばAさんとBさんが同じ場所で見ているりんごは、それぞれが認識している「赤色」は下の色くらい違う可能性だってあります。(下図)
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日本人男性の5%(20人に1人)は赤と緑の見分けがつかない。
色の見え方には個人差がありますが、医学的に「色覚異常」と診断される人が、日本人男性の5%(20人に1人)女性の0.2%(500人に1人)程度います。国内だけでも男女合わせて300万人以上の人が該当します。これほど多くの人が「正常色覚の人と同じようには見えていない」ということを理解して、貴社の広報や販促物の参考にしていただければと思います。
色覚異常のタイプはいくつかありますが、ここでは人数の多い1型2色覚・2型2色覚について解説します。
1型色覚も2型色覚も網膜にある錐体という細胞に欠損や変異があるために、赤と緑を感じにくいという共通点があります。
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○レトロな雰囲気の喫茶店で使用したい看板
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上のように、レトロな色彩のフレームも1型2型色覚の人には、セピア色の世界に見えてしまいます。伝えたいのはレトロな雰囲気なので、1型や2型色覚のお客様がとらえるイメージとしては、あまり問題がないと言えるかもしれません。
ですが下記のように、自社の地図などで強調したい赤が1型2型の人には見えにくいので、このような使い方には注意が必要です。
○会社を示す赤い色が背景色に混じって見えにくい
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色のユニバーサルデザイン改善例
1型2型色覚の人は不便を感じながらも長年の慣れから、普通に社会生活を営んでいるため、まわりの人が気づかないということもあるでしょう。
最も気をつけたいのは色覚異常の子どもたちに対する配慮です。塾や教室の先生、保育士の方は板書などで「強調したい時に赤を使わないで下線を引いたり」、回答を「色名で答えさせず番号で答えさせる」などの配慮が必要です。色覚異常の人が見えない色に対し、どのようにすればよいのか、具体的な改善例を一部示しますので参考にして下さい。
○歯ブラシのピンクとグリーンの見分けがつかない
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○歯ブラシに名前を入れて間違わずに使えるようにする
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○出口案内が見えにくい
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○文字色と背景色の組み合わせ「緑と橙」をさけて文字は黒にする。小さめの文字は白抜きで目立たせ、さらに背景と文字の間にセパレーション(分離)させる色を入れて可読性を高める。
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まとめ
色覚特性という点では、高齢者についても配慮が必要です。加齢により目の機能が低下するため、日常生活においてわかりにくく不便を感じることが増えます。例えば眼球内で光が散乱しやすくなり、明るい光がまぶしく感じる、青と黒の区別がつかない、小さな文字が見えない(老眼)、階段の段差がわかりにくい・・などです。高齢者にとって分かりやすく配慮されたデザインは、多様な色覚特性をもつ全ての人々にとっても有効です。
住みやすい街を目指して、経営者が身近なところから、会社の設備や掲示、販促物やWebサイトなど、色のユニバーサルデザインに取り組んでみませんか。
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ちなみにこのブログで使った図は全て、このシミュレーションソフトでシミュレーションしたものです。
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